- 今回の旅のパートナー
- ハラルレストラン「アラシのキッチン」
オーナーシェフ
アラシ ソダギャランさん - 10代のころからイランのレストランでアシスタントシェフとして働いていたアラシさん。2009年、日本のレストランオーナーに誘われ来日。その後、2013年に「アラシのキッチン」を京都でオープンしました。日本のごはんはなんでも好き!と話すアラシさんと一緒に、イランの朝食をべファルマイド(召し上がれ)♪
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イランの皆さんは、朝にどんなものを食べるんですか?
焼きたてのナンと自家製ジャム、それに豆のスープですね。
ナンにはいろんな種類があるんですよ。厚めに焼いてあって、ちょっぴり酸っぱい「バルバリ」や、ハンカチくらい薄く、具材を包んで食べる「ラボッシュ」、ピザ生地としても使う「タフトゥーン」などがあります。イランには街のあちこちにナン屋さんがあって、子どもたちが毎朝、朝食のナンを買いに行きます。焼きたてのナンを新聞紙にくるんで持って帰るのですが、家に着くころには半分なくなっているんです、つい食べてしまうので(笑)。私も子どものころはおつかいの帰り道、口いっぱいにナンを頬張っていました。母に叱られたのがなつかしい思い出です。
ナンにはジャムをつけて食べるのですが、ジャムはナンよりさらに種類が多いんです。わが家では毎朝、5~6種類のジャムが並んでいましたね。ジャムはすべて自家製なんです。ブルーベリーやりんごのような果物のジャムはもちろん、ナスやキュウリ、ニンジンなど野菜のジャムもあるんですよ。野菜のジャムは甘酸っぱくて、青臭さは全然ありません。わが家では野菜のジャムが大人気でした。すぐに無くなってしまうので、兄弟たちと大好きなジャムを取り合いっこしていましたね。
ナンとジャム、どちらも種類が豊富ですから、組み合わせが何通りもあるんですよ。どのナンにどのジャムをつけて食べようか、考えるだけで朝からワクワクします。ああ、話していたら食べたくなってきました(笑)。
ジャムのほかにも、ナンにつけて食べるものがありますよ。「サールシール」というミルクの上澄みを固めたクリームです。生クリームよりもかためで、ミルクの甘さを感じるとってもおいしいクリームです。イランの人々は、みんなサールシールが大好きなんですよ。日本では見かけないので、イランに帰ったときは必ず食べますね。
野菜のジャムとサールシールをぜひ食べてみたいです!ナンには甘いものをつけて食べるのが定番ですか?
はい、そうなんです。対照的に、スープはスパイシーなものをよくつくります。特に私が好きなのは、レンズ豆のスープ「アダスィー」です。たっぷりのブラウンレンズ豆をジャガイモや玉ねぎと一緒に煮込みます。ターメリックも入っていて香り豊かなんですよ。朝に食べると体が温まって元気が出ます。私はこのスープにレモンを絞って食べるのがお気に入り。爽やかな風味が感じられておすすめです!
豆料理はほかにもありますよ。肉やトマト、ラッペ豆という豆をスパイスで煮込んだシチュー「ゲイメ」はよくお昼に食べます。肉のうまみが溶け込んだシチューに、ホクホクした豆がたっぷり入っていて、何度もおかわりしてしまいます。イランは一日のうちで昼ごはんがいちばん豪華なんですよ。夕食はチーズやヨーグルトくらいで軽めにすませるんです。
イランの人たちは普段食べている料理のことを「ペルシャ料理」と呼んでいます。ペルシャ料理は、生姜などの新鮮な香味野菜や、ターメリック、シナモン、カルダモンなどのスパイスをふんだんに使った伝統的な料理です。そんなペルシャ料理に欠かせないのが「サフラン」というスパイスです。
サフランとはどんなスパイスなんですか?
サフランという花のめしべからつくったスパイスで、その花言葉から「喜びを生むスパイス」とも呼ばれる、イランの名産品なんです。とても上品な香りがするサフランは、いろんな料理に使われますよ。たとえば「サフランライス」というごはんもサフランを使います。サフランは赤いのですが、蒸したお米に混ぜるとお米が黄色く色づきます。ほかにも、デザートのアイスと混ぜたり、煮込み料理のスパイスとして使ったり。イランの家庭にはなくてはならないスパイスです。私のおすすめは、お茶にサフランを入れて飲むこと。サフランとカルダモン、生姜、シナモンを入れたお茶は寒い朝にぴったりで、飲むと体が一日中ポカポカしますよ!ぜひ試してみてくださいね。