
香ばしい薄焼きクレープ。お好みのジャムやバターをつけていただきます
- 今回の旅のパートナー
- ガレット&クレープ専門店
「グウェン・ア・ドゥ」
店主 オリビエ・エリックさん - 2014年、宝塚にガレット&クレープ専門店をオープン。関西各地で開催されるマルシェ(市場)にも出店し、本場フランス・ブルターニュ地方のクレープを提供しています。今回はそんなエリックさんとともに、フランスの朝食をボナペティ(召し上がれ)♪
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フランスの皆さんはどんな朝ごはんを食べるのですか?
私の出身地・フランス北西部のブルターニュ地方ではクレープをよく食べますね。クレープは、ブルターニュ地方の郷土料理なんですよ。つくり方は日本のクレープと同じで、小麦粉と卵、牛乳、砂糖を混ぜて丸く薄焼きにします。焼けた生地を扇型に折りたたんで、イチゴやリンゴのジャム、バター、砂糖など、好きなものを塗って食べます。モチモチしたクレープに甘酸っぱいフルーツやまろやかなバターがよくあいますよ。私のお気に入りはバターと砂糖のコンビ。バターをたっぷり塗って砂糖をふりかけ、さらにカフェオレに浸してから食べます。ほろ苦いカフェオレと甘い砂糖の組み合わせに濃厚なバターが溶け込んで、一口食べると朝から幸せな気分になれます。クレープを浸したカフェオレも残さず飲み干しますよ。
朝食にカフェオレは欠かせません。マグカップではなく「カフェオレボウル」にたっぷりと注ぎます。口が広いので、クレープを浸しやすいんですよ。子どものころに買ってもらったカフェオレボウルをずっと大事に使い続けるのもフランス流といえますね。

本場フランスでは自分の名前が書かれたマイカフェオレボウルを使うそうです。左がエリックさん専用カフェオレボウル
クレープはいつごろから食べられるようになったのでしょうか?
私が子どもだった1970年ごろからですね。19世紀以前のブルターニュ地方は土地が痩せていたので、小麦が育てにくく、また、窯も十分に普及していなかったため、クレープはおろかパンもなかなかつくれませんでした。食料と燃料を節約するために、一度に大きなパンをつくって、食事ごとに少しずつ切り分けながら食べていました。しかし、日にちが経つとパンは固くなるので、スープやミルクに浸してやわらかくしながら食べていたんです。小麦粉やパンを自由に買えるようになった今でもパンやクレープをカフェオレに浸すのは、その習慣が受け継がれているんだと思います。

牛乳をたっぷり入れたカフェオレに、クレープを浸して食べるのがフランス流
ほかにはどんなクレープがありますか?
チーズ、ハム、卵や野菜などを入れて食べることもありますよ。クレープ生地にお酒をかけてフランベ(火でアルコールを飛ばす調理法)し、香り高い大人向けのクレープにして食べる人もいますね。
ブルターニュ地方は街のあちこちにクレープリー(クレープ料理店)があって、お店でクレープを食べる人も多いんです。最近はブルターニュ地方だけでなく、首都パリでも「クレープの朝ごはん」が注目されているそうですよ。皆さんもフランスを旅することがあったら、ぜひ朝ごはんにクレープを食べてみてください。もちろん、クレープをカフェオレに浸すこともお忘れなく!

「お店ごとに具も味も違うので、食べ比べするのも楽しいですよ」とエリックさん